かわいい形はどんな形?

長方形の縦横比を変えたとき、「かわいい」「子供っぽい」「大人っぽい」「かっこいい」「美しい」という印象がどう変わるかを、アンケート結果から読みます。

同じ長方形の列を見せても、尋ねる言葉を変えると選ばれる形が変わります。ここが面白いところで、「かわいい」と「美しい」は日常では近い言葉に思えても、形の好みとしては別の山を持つのです。五つの印象語の結果を順に並べ、最後に「なぜ正方形がかわいいのか」の仮説まで進みます。

公開日:2016年3月26日図版確認:2026年8月12日

かわいい四角形

かわいい四角形のアンケート結果
かわいい四角形(日本・米英各約1000人のアンケート図)研究図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

日本・米英ともに、細長くない正方形を「かわいい」と答えた割合が最も高くなりました。興味深いのは、好みが割れる他の項目と違い、この「かわいい=正方形寄り」だけは日本と米英でそろって見られた点です。

子供っぽい四角形

子供っぽい四角形のアンケート結果
子供っぽい四角形(日本・米英各約1000人のアンケート図)研究図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

日本・米英ともに、正方形を「子供っぽい」と感じた回答が最も多くなりました。「かわいい」と同じ側に山が来ることが、後半の仮説——子供の体型との連想——につながっていきます。

大人っぽい四角形

大人っぽい四角形のアンケート結果
大人っぽい四角形(日本・米英各約1000人のアンケート図)研究図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

細長い長方形ほど「大人っぽい」と感じる傾向が見られました。成長とともに体つきが相対的に細長くなる、という後述の見方と向きが一致します。

正方形が「かわいい」「子供っぽい」と説明された理由

人は成長するにつれて全身や顔が相対的に細長く見えるようになるため、細長くない形が子供っぽい印象につながり、その一部が「かわいい」という印象につながる可能性があります。こうした説明は、赤ちゃんらしい体つきや顔立ちがかわいさの感情を呼び起こすという「幼児図式」の考え方(動物行動学に由来します)とも通じます。ただし、この調査が直接示したのは「どの形がどう評価されたか」という対応関係までです。理由づけは有力な仮説として添えるにとどめ、断定はしていません。

成長に伴う全身比率の変化を示す模式図
第三者の家族写真を使わず、幼児・子ども・成人の比率差を模式化。図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

動物の例

子猫などの動物も全体に細長くないことがあり、「細長くない」ことは、かわいく見える要素の一つになりえます。

子猫と成猫の体型を比較する模式図
第三者の猫写真を使わず、体型の違いだけを示した模式図。図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

かっこいい四角形

かっこいい四角形のアンケート結果
かっこいい四角形(日本・米英各約1000人のアンケート図)研究図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

日本では回答が分散し、米英では比較的細長い形が「かっこいい」と評価される傾向が見られました。五つの言葉の中で、文化差がもっともはっきり出た項目の一つです。

美しい四角形

美しい四角形のアンケート結果
美しい四角形(日本・米英各約1000人のアンケート図)研究図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

日本では正方形、米英では縦横比1.62付近の長方形が「美しい」と評価される傾向が見られました。「黄金比は万国共通の美」という通説が、そのままでは成り立たないことを示す結果です。

調査結果のまとめ:正方形の評価が高い項目と、細長い長方形の評価が高い項目があり、さらに日本と米英でピークが異なる場合があります。黄金比を普遍的な美の基準とせず、文化による違いを重視しています。